面接で重要視していた2つのこと

(10年以上使い続けている無印のリングノート)

10年間のpaperboy&co.での仕事の中でそれなりに時間を割いてきたことの1つに面接があります。
おそらく数百人の方と面接したんじゃないだろうか。
僕の面接を通過して社員になったスタッフはだいたい
「けんごさんの面接はめっちゃ怖かった」「絶対落ちたと思った」と言います。
超真剣に取り組んでメモを取りながらやってただけなんだけどなー、と思いますけど
まあそれは置いておきます。


これから一旦面接を受ける側にまわることもあるだろうし、誰かの何かの参考になるかもしれないので
自分が面接をする時に気をつけていたポイントについて書いてみようと思います。
会社としてもガイドライン的なものはありますが、これは極個人的な経験談です。

最初の方は現場の担当として「一緒に働きたいか」「スキルはマッチしているか」の2点しか見ていませんでした。
というかそれ以外はよくわからなかった。当初は「一緒に働きたいか」に相当主観が混じっていただろうと思うし
自分の中で基準もはっきりしていなくて大雑把な判断軸だったとは思います。
2008年頃に経営理念の策定等があって、大切にしてほしいこと、という3つが明文化されたことで、
面接のときにもそれらを参照することが可能になって、わかりやすくなりました。
大切にしてほしいこと
これがカルチャーにあたるところの判断軸になります。


自分が経営者の立場になって、2次面接、3次面接を担当するようになってからのことが本題。
 
就業経験の無い新卒の場合はポテンシャルを見る形になるので、特にこれがあてはまるんですが
上の「大切にしてほしいこと」以外には
2つを重点的に見ていました。

1つめは「好奇心」、2つ目は「自発性」です。

まずは好奇心について。
僕等のいるインターネット業界は本当に流れが速いです。会社やサービスの栄枯盛衰もそうですし
技術やツールやデザインの進歩や陳腐化も速い。
好奇心をもって自分からいろんなことにアンテナをはっている人だけが一線でいられると思っています。
開発者やデザイナーなどの専門職では当たり前の部分ですが
CSやディレクター、バックオフィスの人も比重の差こそあれ、同様の考え方で見ていました。
サービスが好きかどうかという意味ではなくて、知らないことに興味が持てるかどうか。
人事や総務の担当になったとしても、会社の仕組みや制度のあり方もどんどん変わっていく可能性がありますし
他社の事例はどうなっているのか、世の中の動きはどうなのか、
ということを知ろうとしてくれる人が会社を成長させてくれると思います。
なので、まずは自分の好きなことについて話してもらうようにすることが多いです。
好奇心旺盛な人が伸びると思いますし、変化の多い組織でもポジティブにやれると思います。

次に自発性。
面接の中でサークルや部活のリーダーや部長をしていた、というエピソードを聞くこともあるんですが
僕はそれ自体にはまったく興味が無くて、なぜリーダーをやることになったのかとか
自分で考えてやったことは何があるのか、といったことを聞く様にしています。
誰に言われたわけでもなく勝手にやったこと、が聞けると一番うれしい。
開発者の人についても経験やスキルがどうかという判断は他の人に任せて、個人活動のことに注目していました。
自分でサービスやアプリを作っている人は沢山の気づきがあるはずで、それは必ず仕事に活きます。 
自分から改善点を見つけたり改良したり
新しいサービスや事業のことを考えられる人。
やりたい、ではなくてとりあえずやってみる人。
自分から動く人。周りを巻き込む人。
そういう人には仕事を任せる会社だと思いますし
そういう人に来て欲しいと思って面接をしていました。


違う業界や違う職種、違う会社規模だと当てはまらないかもしれませんし
もっと他に大事なことがあるかもしれません。
最終面接は社長にお任せしていたので、僕の段階では
この判断基準でやれていたということもあります。
たぶん自分一人しか面接しないとするとこの割り切りでは
やれないなあと思うところもあります。
でもまあそれはそれ
ということで。


結論、本人が好きでやってきたことの話をなるべくたくさんしてもらうことで
好奇心や自発性を見ていた、というのが僕のやっていた面接です。
だいたいいつも1時間はかけていたんですが、一生懸命聞いていると
時間が足りないなあと思うこともけっこうありました。
それぐらい真剣にやっているので
今後もし、もし、僕と面接することがあったとしても
怖いとか言わないでよね。
| 12:45 | pepabo |
 
 
これからの10年
(WebCreators 2004年11月号)


自分がこうして退職エントリーを書く事になると想像したことはなかったんですがそういう日が来ました。
3月21日のpaperboy&co.定期株主総会でpaperboy&co.の役員任期満了を迎え、そのまま退職することにいたしました。
またそれに伴いましてpaperboy&co.の100%子会社であるブクログの代表取締役社長もあわせて退任する事になりました。

ペパボは2004年4月入社なのでほぼ10年。
ブクログでは2012年6月の設立から2年弱となります。
「桐島」より「ソーシャルネットワーク」の方が僕にとっては青春映画だと思えるぐらいに
充実した、また得難い経験を沢山させてもらった10年間だったと思います。


2004年3月、京都でwebデザイナーとして働いていた前職の会社が傾いたことで転職活動を余儀なくされたのですが、当時の相棒エンジニアがペパボ創業者の家入さんとMSNメッセンジャーでつながっていたことから、ちょうど上京してくるタイミングのペパボに誘っていただきました。
普通の面接だと想像して上京したら、セルリアンのスーツァン・レストラン陳(高級中華)でコース料理をごちそうになるとは。そしてそのままセルリアンホテルに泊まることになるとは。3月27日に面接があって、4月1日には入社。引っ越しが間に合うはずもなく、当初1ヶ月は遠隔での自宅勤務でした。GWにようやく上京したものの、その日の夜に祖父が亡くなってとんぼ返りしたこともよく覚えています。
まだ東京のスタッフは10人程の小所帯でGMOの人たちが沢山働くフロアの端の方を1島だけ借りた状態でホワイトボードがパーティション代わりでした。東京で採用になったメンバーは1人しかいなかったので、ほぼ田舎者だった我々はびびりながら仕事をしていた記憶があります。
そんな慌ただしい始まり方をした東京での生活に慣れる間もなく担当していたサービスでトラブルが発生したり、半年に満たないタイミングで事業部長や本部長という立場を任せていただいたり、上場プロジェクトが走り出し役員に選んでいただいたり、(いつのまにか)創業者がいなくなり新体制に移行したり。
入社当初は専任の法務スタッフがいなかったので警察との対応も経験しましたし、面接でもかなりの人数の方とお会いすることができました。上場プロジェクトと平行した経営理念の策定・CI変更のプロジェクトも私主導で進めさせてもらいました。そのとき定めた「もっとおもしろくできる」は本当に気に入っています。

最近も子会社のブクログ社長就任等新しいチャレンジをさせてもらっていたのですが、同時にここ数年停滞感も感じていました。これまで社内で積み上げた資産で仕事をしているというかなんというか。。やり残していることもあるので悩んだのですが、最終的に何か打開したいという気持ちが勝り、10年を機会に退職して別の道に進むことにしました。ペパボの方は後任人事もしっかりしていますし、あまり心配はいらないかなと思っています。特にエンジニア方面においてはこの数年で飛躍的に陣容が分厚くなってきた感があります。

自分の方はあんまりゆっくりするつもりはないので、次の10年打ち込める何かをこれから探して行きます。

創業者の家入さん、佐藤社長をはじめこれまでペパボで一緒にやってきたみなさん
10年間会社が大好きであり続けられたのはみなさんのおかげです。
本当にありがとうございました。
また様々な形でペパボに関わってくださった皆様もありがとうございました。


次何しようかな。


※年末にたかのりさんのブログを読んだときは、また改めてシンパシーを感じてびっくりしました。
| 12:19 | me |
 
Comment
お疲れ様でした!
出張で一緒にドムドム食ったこと、しぺべぺのせいで打ち合わせ先で怒られた事などなどおもいだしました。飲みに行きましょ!
posted by みやもと | 2014.02.18 |
 
ブロガーサミット2013に行ってきました

ブロガーサミット2013というイベントに参加してきました。
8/24にありました。
今日は8/26。
でも書きますよ、今から!

ちなみにJUGEMの責任者もやっているので
その立場で登壇もしてまいりました。
この人数規模の前で話すのは久しぶりだったので
ちょっと緊張しました。。

まず個人的な昔話からさせていただきますと
という個人ブログをはじめたのが2003年の1月14日
その時にMovableTypeのインストールの参考にしたのは
Otsune J-Blog: xrea.comへのインストール
このページでした。
そしてブロガーズサミットで僕の席の隣に座っていたのは
このサイトのotsuneさんでした。
その時点で非常に感慨深かったです。
黙ってましたがめちゃめちゃ高まってました(笑

13時開始で19時までセッションが6つみっちりあるという
かなり重量級のイベント。

P1「ブログ~この10年~」

このセッションはまずは10年の振り返りでしたが
すぐにステマと言われてしまうというような話や
adsenseの掲載基準で下ネタが減ってしまったのでは等々
個人レベルのマネタイズも含めて
「個人メディア」としての記事内容の変遷についてふれられた
セッションだったように感じます。
一番印象に残ったのはlivedoorBlogの佐々木さん
もうスマホでしかブログを書かない、と仰っていたこと。
その後自分のセッションの中で会場に聞いてたんですが
1%ぐらいの人しかスマホでブログを書いている人がいなかった。
これはなかなか興味深かったですし、可能性も感じました。
(もちろん当日来ていた方々の偏りは理解してます)

P2「個人ブログからブログメディアへ」

このセッションが一番パネリスト同士のやりとりが多く
特にAppBankのお二人の
「どうやったら人が自分たちのコンテンツを認めてくれるのか。」
「金払ってくれるところまでやらないと本気じゃない。」
というところにメディアとしての気概を強く感じました。
はあちゅうさんも会場の人は印象良くなったんじゃないですかね。
「養命酒を好きで飲んでるのにステマって言われる」
という話は一番笑いました。
パネリストの構成も新野さん堀さんの冷静な視点がうまくはまっていて
結果的に一番バランスがよかったんじゃないかなと思いましたね。
このセッションの一番最後にAppBank村井さんとはあちゅうさんが
「続けること」が大事だと仰っていて
なんとなくこの日の全体を通じたテーマが設定されたような気がしました。

P3「ブログサービスの近未来」

自分が登壇したセッションで、後からふりかえると
もう少し色々つっこんだ話ができたかもなーと思ったんですが

と言ってくださった方がいらっしゃったのでよかった。

P4「ビデオブロガーの今」

事前には自分とは一番縁遠い話なのかな思っていたんですが
そんなことはなくて、ブログを書くこと、読んでもらうこと
一般に通じる普遍的な内容が伺えたセッションでした。
「好きだから続ける」「やってる人がいないことを狙う」
「友達ができていく感覚が楽しい」うんうんそうだよねと。
そういったブログの黎明期の感覚がまだ残っているようにも感じました。
映像ファイルはテキスト情報ほど検索エンジンフレンドリーではなく
より「人と人のつながり」が重要になっているからかもしれません。
他にもビデオブログに特徴的な部分があって
youtubeでサムネイルの絵面がそろっているかいないかで
プロっぽいかどうか判断される、っていうのは面白い話だった。
確かにそういうフォーマットがそろっているかどうかって
テキストを対象にしてもありえる話ですよね。

P5 「ブログライフバランス」

一番エンターテイメントとして見ていられたのは
津田さんもモデレートのポジションでうまく話されていたからかな。
さすがに話もつっこみもうまい。
メモがとても少ないけどtweetはいくつかしていました。

等々。
なかでも不思議だなーと思ったのは
ブログという当時の新しいものに飛びつくのと
同じクラスタの人たちに発見されたんだろうなあ。
ということで個人的に納得しました。

P6「ブログを書くと言うこと」

コグレさんいしたにさんといったプロブロガーのお2人と
tarositeの松村さんレシピブログ運営会社の粟飯原さん
事業者としてはこのセッションが一番勉強になりました。本当に。
聞き入りすぎてメモもtweetも無かった。。
色んなブログで復習しておきます。


色々と気づきもあり、今後の課題も見つかって
スポンサーとして協賛したかいはあったなと思いますし
個人的にも10年ぶりぐらいにお会いする方が何人もいたり
セッション終了後の懇親会も非常に有意義でした。
懇親会のスポンサードもなかなか豪華でしたね。


よし、感想をブログに書いたから
これで僕のブロガーサミットがようやく完結した!


| 18:28 | blog |
 
 
6月に読んだ本
JUGEMテーマ:Book review

相変わらず漫画が多めですけどそれ以外にもヒットが多かった。
特に最大のヒットはこれ。

非常に優れたアイドルの歴史本だった。
(中略)
メディアアイドルからリアリティショーを通過してのライブアイドルという流れについてもとても納得度が高かったし、1971年以降の日本の「ポピュラー音楽の歴史」を解説した本としても面白い。
(中略)
僕はアイドルそのものよりもアイドル論を楽しむようなタイプなので、そんな自分にとってはど真ん中の本だった。AKB以外のアイドルが好きな人にもおすすめします。
レビュー全文はブクログで見てください。

南場さんの本もとても面白かったんですが、藤田さんの「起業家」と同様に
自分と切り離して読めないのでこうして感想を書くのには不向きだなと。

それ以外はこんな感じ。

ハイスコアガールと僕だけがいない街も大ヒット。
kengochi's ブクログ - 2013年06月 (11作品)
powered by booklog
| 15:52 | book |
 
 
ペパボ文化祭


昨日のほこたてが話題ですね。
素人にもわかりやすくするために不正確な表現をする、っていうのは
日常でもよくあることなんだと思いますけど
それが理解を助けるための第一歩のためなのかどうなのかは
相当重要なところだと思っていて、そういう意味で昨日のほこたては
誰得な内容だしあれならやる必要なかったんじゃないかって思うなあ。
セキュリティに対する理解の役にも立たないし、セキュリティ会社も
ハッカーもどちらも得しないし、時間埋めただけじゃないのという。
(ちなみにその後の番組でやってた林先生の授業の方がほこたて感あった)

ちなみに今週末の6/16(日)には原宿で「ほこたて」があるらしいので
見に行くといいと思いますよ。
これはきっと面白いんだと思う。
「ペパボ新旧WEBデザイナーほこたて対決!!」

これはpaperboy&co.が今年で10周年を迎えたことを記念して行う
ペパボ文化祭というイベントのうちの一つで
その他にも、僕もトークショーを1つやらせていただきます。


15日土曜日の13時から
「盛り上がるセルフパブリッシング」と題して
livedoor Blogの責任者でLINE株式会社の執行役員 佐々木大輔さん
というこれ以上ない方に来ていただいて、ブログ黎明期の話から
セルフパブリッシングの現状とこの先についてを
いろいろとお話する予定です。
楽しみだなー。

入場には整理券が必要とのことですので
開演時間13時の1時間前、12時から配布されます。

その他にもいろんなイベントが目白押しですので
今週末は是非原宿まで足をお運びください!
(無料です)

| 10:45 | pepabo |
 
 
過去のインタビュー記事を眺めてみた
なんとなく過去にパブー・ブクログで受けたインタビューを並べてみました。
(漏れがあるかもしれません)

2010年11月22日
「ブログ感覚で作れる電子書籍」の快進撃~「パブー」吉田氏に聞く(前編) (1/4) - ITmedia eBook USER

2010年11月29日
「ブログ感覚で作れる電子書籍」の快進撃~「パブー」吉田氏に聞く(後編) (1/4) - ITmedia eBook USER


2010年12月22日
OnDeck 創刊号 ベンチャー探訪:パブー

2011年09月05日
まつもとあつしの電子書籍最前線Part4(前編)電子本棚『ブクログ』と電子出版『パブー』からみる新しい読書の形 | ダ・ヴィンチ電子ナビ
(有料の本です)

あんまり言ってること変わらないな。
周りの状況はかなり変化してきているので
その時々で注力するポイントは変わってきてるんですけど
基本的な考え方についてはパブーのリリース当初から
特に変わりがないんじゃないかなと思っています。

やりたい、或はやるべきだと思っていることでも
タイミングを待ってる事柄もけっこうあったりします。
世の中がこう動いていくだろうということを信じていても
どのタイミングで何を表に出していくかというのは
早くやればいいっていうものばかりでもないなと。
とはいえ先行してやれたこともあれば
逆に遅れていることもあるので
うまくあわせてやっていきたいものです。

| 10:29 | booklog&puboo |
 
 
機械との競争
結論とても面白かった。そんなに分量の多い本ではないしさくっと読めます。
レビュー読んでると思ったより装丁・デザインの評判が悪いんですけど、僕は逆にこうでもなければ紙の本で買わないなと思った。値段が高い、というのは同意します。

基本的に非常に面白く読めたのだが最初に(中身とは関係ない)残念なところを述べておくと原題の「Race Against The Machine」が邦題「機械との競争」になってしまっているところかなあ。せっかくRage Against The Machineにかけてあるので、なんか工夫できなかったかなと思いますけどしょうがないかな。

ということで、以下本題。

 中身としては「コンピュータができることがどんどん広がっている」ということに楽観的か悲観的かでものすごく評価が別れる本なんだなというのが、本を読んでなおかつレビューも読んだあとで持った感想。僕個人としては現状完全に楽観的なので、うんうんそらそうだよ。って思いながら読んだわけですが、そう思えない人もたくさんいて、現代版のラッダイト運動みたいなこともありえなくはないのかなと。いずれにしてもコンピュータが進化することは不可逆な変化なので、対応する以外ないと思うんですよね。

将棋の人間対コンピュータの対決であった電王戦とそれに対する反応等を見ていてもコンピュータに置き換えられることの生理的な恐怖感とか嫌悪感があるのかどうかっていうところで大きく見方が別れるんだなと思いましたが、将棋はルールもゴールもはっきりしているゲームであって、ただチェスよりも遥かに自由度と複雑性が高いのでこれまで人間が勝ってきていた、ということでしかないんですが、世の中的には「人間が負けた」という情緒的な反応も多かったりする。670台もクラスタリングして2.8億手も計算できるコンピュータと対当に勝負できるなんて恐ろしい人たちだなと思ったぐらいです。

 本当に人間がコンピュータに置き換えられるに至るには、攻殻機動隊でいうところのゴーストが宿るレベルまでいかなければ、いくらコンピュータの計算速度が速くなってもできることとできないことの深い溝はあると思ってるんですけどね。そしてまあその溝ももしかしたら僕の生きている間になんとかなってしまうのかもしれない。

特に面白いなと思ったのは、本書の核となる考え方で「人間の或は社会制度の進化がコンピュータのそれに比べて遅すぎて脱落者(失業者)が増えてしまうのだ」という論調。つまりは「人はコンピュータに仕事を奪われます。おわり」という話ではないということ。ここは悲観的に読むと誤読するポイントだと思う。
人間はコンピュータに負けますという主張をしているわけではなくて、コンピュータの進化が早すぎて「今の」人間社会が追いついていないんだよ、というのが本書の本筋。これはちょっと新しいというか、そんなに主流ではない見方で非常に面白く、かつ納得度が高いなと思いました。人間よ、もっと早く変われと。
例えば著作権とかそうですよね。完全にコピーすることが前提のコンピュータネットワーク上での情報のやりとりに、コピーライト(コピーする権利)っていうのは分が悪いというか、前提が違ってるのでパラダイムシフトさせるしかない。しかしこの例をあげただけでも、それぞれのコンピュータやネットワークの進化に対して、人間や社会制度を進化させることが如何に困難かということが実感できる話でもあり、それぞれの対応策が現実的に思えるのかどうかという問題は個別にそして山のように存在するのも事実ではあります。

もうひとつのポイントはこれまで「コンピュータにはできない」と思われていたことも、かなりの分野が今後カバーされていくだろうという予想。具体的には自動車の自動運転をあげていた。その他「ムーアの法則」的な話で、一定時間毎に倍々に処理能力が上がっていくことで大量のデータを処理できるようになることを、甘く見てはいけない、というような話。世間的には将棋もこっちにあったんだな、というのは電王戦の反応を見るまで実感が無かった。
ムーアの法則ともう一つあげられていた「チェス盤の法則」はドラえもんの「バイバイン」と同じ話で、2倍かける2倍かける…としていくと思ったよりも速く天文学的な数字になってしまうという、指数関数的な感覚。この2つをもって、コンピュータの進化スピードが如何に速いかを例示している。

そういった現状認識を受けたあとの第4章「では、どうすればいいか」で解説されていることは、テクノロジーにより開かれる市場に上限はなく、それぞれのマーケットサイズは小さくともマイクロマーケットのマイクロエキスパートが数千万存在することも可能だろうという話。少なくともアトムの世界、物理の世界のような上限はないのであって、何がそのマーケットサイズの上限になるかというと人の数と時間ぐらいのものだろうと思う。
そして具体的な提言として教育、起業家育成、投資促進、法規制・税制の変更(緩和)と19の項目をあげている。アメリカを対象とした内容だが、多くはそのまま日本にも当てはめて考えられると思う。というか最後の解説にもある通り、日本に比べてアメリカではよほど対応できているのではないかと思う事柄が並んでいるが、実情はそうでもないということだろうか。


最後に本書では「デジタル情報の経済学とは、一言で言えば希少性の経済学ではなく、ゆたかさの経済学である。」という。これだけでは抽象的でよくわからないかもしれないが、コピー可能な財、コピーすることで共有することが容易に可能な財、とその基盤となるインターネットに大きな可能性を感じているからこその表現だと思う。本書では未来を常に楽観的にとらえているし、そこに共感できたからこそ本書が面白く読めたのだろう。

一言で書くと「機械(コンピュータ)は人間の仕事を奪っているが、それは本質的に人間が機械に置き換えられるからではなく、人間の側の主に教育や制度設計といった部分がボトルネックとなって対応速度が遅いからだ。」というのが本書の主張で、納得度は高かった。やれることは沢山ある。

| 09:41 | book |
 
 
ペパボ10周年

ブクログ社はまだ1歳にもなっていませんが
ペパボ(paperboy&co.)は今日10周年を迎えました。
僕が入社したのは2004年の4月なので
それからもう9年近くになります。

ホームページを作る事自体が楽しくて
ホームページを作る事自体が目的だった
そんなユーザーさんが使いやすい値段と機能のレンタルサーバー
 「ロリポップ!」からはじまったペパボは
誰でもドメインが取れるような価格ではじめた「ムームードメイン
インストールや設定などをしなくてもブログができる「JUGEM
簡単にネットショップを開設できる「カラーミ-ショップ
と、インターネット上での表現活動を支援するサービスや仕組みを
色んな分野で提供し続けてきました。

表現する事自体から、その先の可能性にむけて
ペパボも脱皮していきます。
インターネットで可能性をつなげる、ひろげる

今後ともよろしくお願い致します。


#10年後もまたこうしてJUGEMでブログを書くぞ
| 18:35 | pepabo |
 
 
β版出版というかたちとBuild Measure Learn
パブーで「CodaでつくるWebサイト制作入門(Coda 2対応) - ともすたBOOKS」
という本が販売されています。

この本の解説から引用させていただくと
---
Codaは米Panic社が提供する、Mac向けWebサイト構築ソフトです。

コーディングからプログラミング、リリース作業やサーバー管理まで、
あらゆる場面で非常に頼りになる存在のソフトですが、それだけに使い方が複雑で、
最初にどこから手をつけたら良いのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。

本書では、そんな「Codaをこれから使ってみたい」という方を対象に、
Codaの魅力や便利な使い方、他のソフトとの組み合わせ方など
「マニュアル」を超えた、Web制作の実践に特化した内容を目指して執筆いたしました。
---

というものなのですがお話したいのはCodaそのものではなく
この本の方です。

この本は現在【執筆中】という形で販売されています。
7月19日現在では500円(税込み)ですが
完成すると900円程度になると予告もされています。
とても電子書籍らしいなあと思うのですが
そのポイントをあげてみます。

書き手側にとって
・書いている途中でも収入を得る事ができる
というメリットがまずあります。
今回のこの本は目次が公開されていたので
読者側はこの後何が追加されて行くのかわかるのですが
場合によっては読者の反応を見ながら追記していったり
誤字脱字を含めた間違った部分の修正であったり
当初予定外の内容を書き足して行く事もできるでしょう。
物語であればストーリーを変えていくことすら可能です。
携帯小説なんかではこういうことは発生していたと思います。

読み手側にとって
・先物買いをすることで安く手に入る
パブーの場合は購入済みの本の内容がアップデートされても
そのまま何度でもダウンロードすることができますので
追加料金等を払う必要はありません。
早く見つけることに価値がある、ということもできますし
ある種応援の意味も含まれるかもしれません。
本に関与する度合いが大きくなるケースもあるでしょう。

#ちなみに大きなバージョンアップになる場合は
 「Aという本を持っている人にはBという本を割引価格で販売する」
 ということもパブーではできますので
 バージョンアップ版を別売という方法も可能です

ですが
上記にあげた個々のメリット以上に大きなポイントがあると思っています。
これまでの「物体」としての書籍の制作販売フローにおいては
完成版ができるまではお金にならなかったわけです。
一生懸命完成形をつくりあげるまではキャッシュインのポイントがなく
完成すると同時にようやく販売できる。
ある種のギャンブルのようなものになっていました。
(近しいところで予約販売という方法はありますね)

この構造はファミコン以降のコンソール型ゲームも同様ですし
音楽CDも同じ、コンテンツを物体の形で販売する場合には共通でした。
それが少しずつリリースすること、リリースしながら修正していくこと
リーンスタートアップで話題になっているようなBML(Build Measure Learn
フィードバックループをコンテンツの制作販売の中に組込んでいけるようになった
というのがとても大きな事だと思います。

話が多少脱線しますが
コンソールゲームとソーシャルゲームの違いって
コンプガチャだとかそういうことじゃないと思うんですね。
課金のハードルが低いっていう環境要因はもちろん大きいんですが
大きい博打をはらなくちゃいけないコンソールゲームが
そのリスクを下げるために続編頼みに傾斜していったのと対照的に
(特に初期の)ソーシャルゲームがゲーム性やクリエイティビティとは別に
その売上を伸ばして行ったのは、BMLサイクルの問題だと思っています。
小さく作って大きく育てる。反応のいいところに注力する。
そういった制作開発過程も含めたビジネス構造の対決が発生している中で
コンテンツやクリエイティビティ、作品そのもので太刀打ちしようとしても
なかなか難しいところがあると思うんですね。
やはりそれは経済行為ですからお金の集まるところに優秀な人は集まる。
ソーシャルゲームのビジネス構造がある程度明らかになって
なおかつソーシャルゲーム間での競争も激しくなってきたこれからが
クリエイティビティや作品そのものでの勝負になってくるんだと思います。

話を戻しますと
全く同じことが「本」「書籍」の世界でも発生すると思ってて
codaの本はその第一歩目を踏み出している
ということでとても重要な取組だと思っています。
ちなみに既存の本の世界でも雑誌は近いところがありますので
書籍と雑誌については世界がかなり違うなあと思うところもあります。

完成形が見えているなら執筆中でも販売開始していいし
それを応援して買ってくれる人もいます。

パブーでももう少し「執筆中」「β版」の状況をわかりやすくしたり
割引の設定を簡単にできるように、側面支援をして行きたいと思います。

もっと本をインターネットに
というのをブクログ社のミッションにしているのは
こういうことでもあります。

面白くなってきた!
| 18:22 | booklog&puboo |
 
 
ブラスデイズ
 
中山智幸さんの書き下ろしの新作
ブラスデイズ」を献本いただきました。

今回は初の青春小説ということで
高校の吹奏楽部の物語だそうです。
今届いたばかりのホヤホヤなので
まだ全然読めていないのですがとても楽しみ。

空で歌う」に引き続き
名久井直子さんの装幀が素敵です。
イラストはウラモトユウコさん。

あ。中山智幸さんはパブーでも
色々と短編を公開してくださっているので
ご興味のある方はそちらも合わせてどうぞ。

明日新幹線移動があるので
その時に読もうと思います!


| 14:09 | book |
 
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